愛犬の【ストルバイト結石】で知っておくべきこと

ストルバイト結石は、コーギーに限らず、どの犬にもできやすい結石です。

再発しやすいと言われるため、悩む飼い主の方が多いですが、ネット上には誤った情報もあり、結局どうすればいいのか悩んでしまうこともあるでしょう。

私自身、愛犬のコタロウがストルバイト結石になった時に、腑に落ちないことがいくつかありました。あなたもそんな気持ちから検索して、ここへたどりついた一人なのかもしれません。

なぜできるのかをしっかり理解すれば、どこか腑に落ちない、何かモヤモヤする、そんな気持ちもスッキリして対処できるようになります。

ストルバイト結石(ストルバイト尿石症)っていったい何?

ストルバイトとは、リン酸アンモニウムマグネシウムのことです(そういう成分でできた結石なんだということがわかれば十分です)。リン、アンモニア、マグネシウムで構成された結晶で、中性やアルカリ性では溶けにくく、酸性で容易に溶けるという特徴があります。

ストルバイト結石はなぜできるのか?

一般的に言われていることが、どこか腑に落ちない、何かモヤモヤした気持ちがある、あなたもそうじゃないですか?

もしそうなら、あなたもこの一言できっとスッキリすると思います。

ストルバイト結石は、感染結石である。

したがって、愛犬の食事が原因ではありません。

ストルバイト結石(リン酸アンモニウムマグネシウム結石)は、ウレアーゼを作る菌(尿素分解菌)による尿路感染が原因で形成される結石です。そのため、私たち人間の医学では感染結石とも呼ばれています。

膀胱炎など尿路感染症になると、尿素分解菌が作り出すウレアーゼという酵素により、尿素がアンモニアと二酸化炭素に分解されます。

この時に生じたアンモニアで、尿がアルカリ化(pHの数字が高くなる)してしまい、健康な尿の時(酸性)には溶けている「リン酸アンモニウムマグネシウム」が溶けていられずに結石が形成されます。

犬や猫で感染結石と言われることがないのは、たぶん、尿路感染を伴わない無菌性のストルバイト結石があるからでしょう。

ですが、無菌性のストルバイト結石は、猫に多く見られ、犬では稀です。

犬の場合、ストルバイト結石といった場合は、通常、感染を伴うストルバイト結石のことを指します。Whole Dog Journalによると、研究者は、ストルバイト結石の犬の98%以上は尿路感染を伴うストルバイト結石と推計しているとのこと。

犬にストルバイト結石が形成される原因は尿路感染症ですので、リンやマグネシウムなど愛犬の食事を原因にあげるのは大きな間違いです。関係ありません。

少しはモヤモヤがスッキリしたでしょうか?

健康な犬でもストルバイト結晶は尿に出る

ストルバイト結晶が尿に出ても、実は、それだけでは病気ではありません。

意外と知られていませんが、健康な犬でも、尿と一緒にストルバイト結晶は排泄されています。健康な犬の約4割は尿にストルバイト結晶が見られるといいます。言い換えれば、犬のストルバイト結晶尿は、ごく普通のことだということです。

Merck Veterinary ManualのWeb版によると、このように明記されています。

Struvite crystalluria in dogs is not a problem unless there is a concurrent bacterial urinary tract infection with a urease-producing microbe. Without an infection, struvite crystals in dogs are not associated with struvite urolith formation.

Urinalysis – Clinical Pathology and Procedures – Merck Veterinary Manual
By Trevor J. Whitbread, BSc, BVSc, MRCVS, DECVP, Pathologist, Abbey Veterinary Services

訳すと、犬におけるストルバイト結晶尿は、ウレアーゼ産生菌(尿素分解菌)による尿路感染を伴っていないなら、問題ではない。感染がない犬のストルバイト結晶は、ストルバイト結石の形成とは関係がない。

MEMO
Merck Veterinary Manualは、世界中の獣医が信頼を寄せる総合獣医学書。MSDマニュアル(メルクマニュアル)の獣医学版ですね。スマートフォン向けアプリ(Merck Vet Manual)もあります。無料なので英語が得意ならオススメです。

なぜストルバイト結石ができるのかを思い出してください。感染がない犬のストルバイト結晶が問題がないということは、難しい獣医学書を見なくても、すんなり納得できると思います。

結石が形成されてしまう原因は尿路感染症です。ウレアーゼ産生菌(尿素分解菌)による尿路感染があるかないかを確認することが重要です。

一般的には、犬のストルバイト結晶尿はそれだけで病気なんだ、問題がある、そんな誤った認識があるようです。

再発しやすいと言われますが、尿にストルバイト結晶が出ただけでは、再発とはいえませんし、それだけで病気というわけでも、問題があるというわけでもありません。

尿のpHや尿沈渣(にょうちんさ)で察しが付くので、獣医が間違えることはないと思いますが、念のために愛犬に膀胱炎などの尿路感染症があるのか、確認してみましょう。

逆に、感染していても尿検査上は問題ないこともあるので、症状などから結石が疑われる場合は、レントゲンやエコー検査、さらには尿培養をすることもあります。

MEMO
尿沈渣とは、尿を遠心分離機にかけ沈殿物を調べる検査です。沈殿物を顕微鏡で観察することで、尿内に混じっている固形成分の量や種類(血尿、白血球、細菌や結晶など)を調べることができます。

どんな病気なのか

ストルバイト結石(ストルバイト尿石症ともいう)は、主に膀胱や尿道にできる尿路感染症を伴った下部尿路結石です。

MEMO
尿路とは、尿が作られて排出されるまでに通る路(腎臓、尿管、膀胱、尿道)のことをいいます。尿路は、腎臓から尿管までを上部、膀胱から尿道までを下部といいます。

オシッコの通り道(尿路)をストルバイト結石が邪魔をしてしまい、排尿しようにも、石の刺激で痛みが出たり、詰まってしまい、排尿しようとしても少ししか出ないなど、うまく排尿ができなくなる病気です。

ストルバイト結石は、オスよりもメスに多く見られます。

排尿できずにお腹がパンパンに膨れるくらい尿がたまってしまうと非常に危険です。最悪の場合、死を招くこともある病気です。

結石は数日で急激に大きくなることはないですが、排尿できずに尿がたまると、尿毒症や膀胱破裂など、尿が出ないことが引き金になる病気になり、愛犬が悪化するのも速くなりますので注意が必要です。

また、結石は小さくても、いつ、どこで詰まってしまうかはわかりません。できるだけ早く異常に気付いてあげてください。

ストルバイト結石の場合、尿素分解菌によってアンモニアが作られます。このアンモニアによって尿のpHがアルカリ性になりますが、pH試験紙がないとわかりません。

でも、アンモニアは尿のpHだけでなく、尿を濁らせ、尿内にアンモニアができるため尿のニオイがきつくなります。

アルカリ尿の目安として、尿の濁り、異常な尿臭(アンモニア臭)も覚えておくといいですよ。

気になる症状・サインについてはこちら

ストルバイト結石はどんな治療がされるのか

ストルバイト結石の治療は、

  • できた結石を溶解・除去する
  • 結石形成の原因になっている尿路感染症の原因菌を死滅させ無菌尿を維持する

この2つの柱で行われます。

まず、できた結石をどうするかは、結石の大きさなどにより処置(外科的除去・内科的治療および自然排石)が異なります。

そのため、どのくらいの大きさの結石が、どこに、いくつあるのかを治療前に確認する必要があります。

ストルバイト結石は大きさにもよりますが、エックス線(レントゲン写真)や超音波検査(エコー検査)で確認できます。

MEMO
人間の場合、CTスキャンを使って結石を確認できますが、犬の場合は、検査をするのに全身麻酔のリスクがあること、費用負担が大きくなる、そもそも設備がないなどの理由で一般的ではありません。

自然排石が望める場合は、結石の溶解と排石をサポートする療法食が処方され、それを与えるよう指示されます。動物病院によってはサプリメントも一緒に処方することもあります。療法食については後でお話しします。

ストルバイト結石は内科的治療もあるため、愛犬への負担の少ない治療法を選択したいところですが、獣医により外科的除去が必要といわれた場合は、愛犬を守るためにも迷わず処置を受けることが重要です。

結石の外科的治療には、体外衝撃波砕石術(ESWL)もありますが、獣医側、飼い主側、愛犬にとってもデメリットがあるので、一般的ではありません。

最新の治療法に経尿道的結石破砕術があります。内視鏡の目覚ましい進歩によって犬にも可能になった治療法です。

カテーテルのように尿道から内視鏡をいれ、レーザーなどで結石を破砕する治療法です。全身麻酔は必要ですが、体にメスを入れないので、愛犬への負担の少ない外科的治療です。

体外衝撃波砕石術(ESWL)
体にメスを入れずに体外から衝撃波を当てて結石を小さく破砕し、尿と一緒に体外に排泄させ除去する治療。結石のみをピンポイントに狙えるわけではないため、体の小さいペットでは結石以外の臓器も傷つけるリスクが高く一般的ではない。

結石ができる原因になっている膀胱炎などの尿路感染症は抗生物質で治療します。

検査費用がかかりますが、尿路感染症は尿培養検査をしてもらった方が適切な治療ができます。

尿培養検査では、膀胱炎などの尿路感染症の原因になっている菌を特定し、どの抗生物質が有効かを知ることができるからです。

初診時は間に合わないので、統計的に原因菌として多い菌に対応した抗生物質が処方されると思いますが、処方された抗生物質が効かなければ、いずれは効く抗生物質を探るために尿培養することになります。

治療期間を長引かせないためにも、早めにやってもらうのがいいでしょう。

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