腎臓病食を手作りしてわかった!後悔しない療法食の選び方

愛犬が慢性腎臓病と診断されると、間違いなく療法食を指示されます。

動物病院で獣医に勧められた療法食を食べ続けてくれれば、飼い主としてはひとまず安心ですよね。

でも、実際にはそうではありません。愛犬のためにと食べてくれる療法食を何とか見つけようと、療法食と名のついたドッグフードをはしごする人も少なくありません。

愛犬チャコも最初は食べてくれましたが、2、3週間して食べてくれなくなり、もともと手作り(生食)していたので、慢性腎臓病の愛犬の食事療法や療法食について勉強して、手作りすることに。

そこでわかったのが、療法食は、メーカーによって制限が必要な栄養素の調整やサポートにかなり差があるということです。

この記事では、愛犬のために腎臓病食を手作りしてわかったこと、得た知識をもとに、後悔しない療法食の選び方を紹介します。

慢性腎臓病の療法食はここを比較する

療法食も食事なので、愛犬が食べてくれるというのはもちろん重要ですが、食事療法として栄養学的なサポートが十分かどうかも重要です。

通常の維持食のように、AAFCOやFEDIAFに療法食用の栄養基準が栄養素ごとに数値としてあるわけではありません。

どの程度の栄養素の調整やサポートで療法食と言っているのかはメーカー次第です。

有効性もエビデンス(科学的根拠)もメーカー次第です。

どんな過不足がある療法食なのかがわかれば対策をすることができますので、しっかり比較して、療法食の特徴を把握するようにしましょう。

では、どの栄養素を比較したらいいのか?

知らないと後悔する!最低限、比較すべき2つの栄養素

最低限、比較すべき2つの栄養素とは、タンパク質とリンです。

EUには法律(Commission Directive 2008/38/EC)で療法食についてある程度の規定があります。

慢性腎臓病の腎機能をサポートする目的の療法食は、次のように規定されています。

Low level of phosphorus and restricted level of protein but of high quality

引用:Commission Directive 2008/38/EC

低レベルのリン、高品質で制限されたタンパク質

これがCKD向け療法食として必須の栄養学的特徴になっています。

EUの規定は科学的な知見に基づいて決められたものですので、慢性腎臓病の愛犬にとって、タンパク質とリンは重要だということです。

具体的にどのくらい重要かと言うと、タンパク質とリンは、愛犬の予後、つまり病気の進行やそれに伴う生活の質、さらには一緒に過ごすことができる時間に直接関係してきます。

最低限、タンパク質とリンを比較します。特にリンはしっかり制限されているかは重要です。

この二つの栄養素は手作りで一番気を付ける栄養素で、慣れるまでは頭を悩ませた部分です。

タンパク質の制限はしても、愛犬が日常生活を維持していくために必要な必須アミノ酸は摂らなければなりません。

しかし、タンパク質が多い食材はリンも多く、低リンでありながら、良質なタンパク質(必須アミノ酸源)は確保する必要があるからです。

良質なタンパク質=愛犬にとって利用価値の高いタンパク質です。限られたタンパク質の供給源に何が使われているのかもチェックするようにしましょう。

何を基準に比べればいいのか?

EUには法的な規定があるといっても、低レベルや制限はどの程度のことなのかは、具体的には規定されていません。

そのため、何を基準に比較したらいいのか困りますが、比較する際は、動物病院で勧められることが多いヒルズとロイヤルカナン(腎臓サポート)を基準に比較するといいと思います。

特にヒルズの療法食は、クリニカルトライアル(臨床試験)や研究で、科学的に有効性が証明されている(論文や臨床レポートで確認済み)ので手作りする際にも参考になります。

比較表を見るとわかりますが、ヒルズやロイヤルカナン(腎臓サポート)は、他のメーカーと比べると、タンパク質の制限は大差ありませんが、リンは明らかに低レベルにしているのがわかります。

参考までに

DogAware.comによると、NRCのガイドラインでは、進行した腎臓病(IRISのステージ4程度)では一日にリンは22.25mg/kgだそうです。ステージによりますが、体重1kgあたり15-40mgに制限すると紹介されています。

多くの療法食は、レンジアレンのようなリン吸着剤でリン対策をしたほうがいいでしょう。

まぁ、個人的には、手作りでリンの制限に労を費やしたので、リンの制限がろくにできていない療法食にわざわざお金を払って大事な愛犬に与える気にはなれませんが、維持食よりは制限されています。

給与量の目安でのカロリーの違いと愛犬に必要なカロリー

療法食に限ったことではありませんが、給与量の目安とこれまで食べていたドッグフードでのカロリーに差が大きい場合は要注意です。

ドッグフードは、カロリーだけを調整することはできません。

カロリーを調整する=給与量を調整するということは、すべての栄養素を調整することになります。

特に、減らす必要がある場合は注意してください。

慢性腎臓病向けの療法食は健康な犬に推奨される最小値あるいはそれ以下にタンパク質が制限されています。

そのため、給与量を大きく減らす必要がある場合、愛犬が生きていくのに必要なタンパク質(必須アミノ酸)が不足する恐れがあります。

筋肉量が低下し、生活の質が低下するだけでなく、寿命を縮めてしまう可能性があります。

慢性腎臓病の愛犬の場合、ちょっと太るくらい、人間で言えば小太りくらいのカロリーオーバーはOKです。

逆に、理想体型や体重から痩せてしまうのは避けるべきです。

タンパク質が制限されているので、慢性的にエネルギーが不足すると、愛犬の身体は筋肉をエネルギー源として消費してしまい、筋肉量の低下=生活の質の低下を招きます。

愛犬の状況次第で比較すべきこと

愛犬の検査結果や症状から獣医の指示がある場合は、ナトリウム、カリウム、脂質についても比較したほうがいいでしょう。獣医の勧めた療法食以外の療法食にする際は獣医の指示を仰いでください。

例えば、こんな場合が該当します。

  • ナトリウム:高血圧や心臓に不安がある場合
  • カリウム:高カリウム血症がある場合や、フォルテコールを服用している場合は過剰摂取に注意が必要。逆に食欲不振だったり、多飲多尿でカリウムが不足することも
  • 脂質:脂質異常や、過去に膵炎になったことがあり再発の心配がある場合。

脂質は意外かもしれませんが、CKD用の療法食はエネルギー源でもあるタンパク質が制限されるので脂質や炭水化物(糖質)の割合が増えます。

そのため、脂質の制限や糖質の制限を指示されている場合は、療法食では対応できないかもしれません。

優先度は高くないけど、愛犬にとってプラスの要素も比較

ここまでは、どちらかと言うと制限が必要になる栄養素でしたが、ここでは愛犬にとってプラスの要素、つまり腎機能をサポートしてくれる栄養素を3つ紹介します。

  1. EPA+DHA
  2. 抗酸化物質
  3. シンバイオティクス(プレバイオティクス+プロバイオティクス)

愛犬にとってはメリットがありますが、療法食の比較では重要視するほどでもありません。

なぜなら、プラスの要素はサプリでも補えるからです。

とはいえ、サプリにばかり頼ると費用がかさみますので、犬用ではなく、人用を使うようにするといいかもしれません。費用を抑えつつ、信頼できる品質の高いものを与えることもできます。

療法食以外に飼い主が簡単にできることですので、プラスの要素は取り入れるのがおすすめです。ちなみに愛犬チャコのために3つ全てを実践しています。

EPAとDHA

EPAとDHAは愛犬にとってプラスの要素で、EPAとDHAは魚油に多く含まれています。

サプリでも補えるので療法食の比較では優先度は低くてもOKですが、十分でない療法食の場合などは、必ず補ったほうがいいです。手作りなら必須です。

EPA+DHAは、腎機能をサポートしてくれ、進行を遅らせることが研究によって示されています。

そのため、ほとんどの療法食にはEPA+DHAまたはオメガ3脂肪酸(α-リノレン酸、EPA、DHA)が含まれていますが、同じオメガ3脂肪酸でもEPA+DHAが有用なので、原材料にEPA+DHA源=魚油があるかどうかはチェックしましょう。

詳しくはこちらで解説しています。

EPA+DHAで愛犬の慢性腎臓病の進行を遅らせる方法

抗酸化物質

抗酸化物質は愛犬が慢性腎臓病じゃなくても、愛犬の健康にプラスの要素です。

酸化ストレスも腎機能に影響していることがわかっているので、補えたほうがいいです。原材料として供給源があるかもチェックします。

研究では、EPA+DHA単独よりも抗酸化物質と一緒に摂ったほうが効果的になるようですので、愛犬の食事に取り入れるのがおすすめです。

ただ、抗酸化ばかりをウリにしているものもあるので、それよりもまず、基本であるタンパク質とリンが重要です。

シンバイオティクス

プレバイオティクス(善玉菌のエサを摂取する)とプロバイオティクス(有用な生きた菌を摂取する)の二つがありますが、この両方を組み合わせたのがシンバイオティクスです。

腸内環境を整えることは慢性腎臓病の治療法として期待されていて、日本では東北大学と慶応大学が研究をしています。

慢性腎臓病で悪化した愛犬の腸内環境を整えることで、尿毒素の排泄や悪玉菌が作る尿毒素を減らすことで腎臓をサポートし、生活の質の維持や進行の抑制に期待されています。

指定医薬部外品やサプリ、食品としても愛犬に補うことができるので、療法食での優先度は高くはありませんが、愛犬に必ず取り入れるのがおすすめです。

療法食にシンバイオティクスを望むのは無理かもしれませんので、原材料では、水溶性食物繊維(プレバイオティクス)の供給源となる原材料(ビートパルプやサイリウムが有名)があるかくらいはチェックするといいでしょう。

愛犬のために維持食よりも厳しい目でチェックを!

療法食を比較してみるとわかりますが、重要とされる栄養素の制限でさえ、かなりの差があります。

どれも同じと思って療法食を与えるのと、違いを知ったうえで対策を講じて与えるのとでは、愛犬の将来は違ったものになるかもしれません。

愛犬のために、これまでのドッグフードよりもじっくり選んであげて、かけがえのない時間を少しでも多く過ごせるようにしてあげてください。

とても長い記事をここまで読んだあなたならきっとできます。

慢性腎臓病向けの療法食の比較表

犬の慢性腎臓病向け療法食(ドッグフード・ドライ)を比較 慢性腎臓病の犬用療法食(ドッグフード・ウェット)を比較

リファレンス