犬の腎臓病食で低リンとはどの位の摂取量なのか?

愛犬が慢性腎臓病と診断されると、低リンの食事にしましょうとか、リンを制限した療法食に変えましょうと言われますが、低リンとはどの位の事を言うのでしょうか?

食事を手作りする場合、具体的にリンの摂取量はどうすればいいのかは頭を悩ませることの一つです。

この記事では、自信をもって低リン食を実践するために、低リンの具体的な摂取量について紹介します。

研究、療法食、リンを制限した食事を調べてみた

食事でリンを制限すると、慢性腎臓病の進行を遅らせ、愛犬の生存期間を延ばし、生存率を高めることができることが科学的にわかっています。

では、具体的にはどの程度まで制限しなければならないのでしょうか?

低リンとは、どのくらいのリン摂取量なのか?

調べてみました。

低リンの有用性を示した研究では、DM(乾燥重量)でリンが0.4%の食事が低リン(リンを制限した食事)として使われています。

代表的な療法食(ドライフード)はどうなっているかというと、ヒルズのk/d(US版HPを参照)はDMで0.33%、ロイヤルカナン腎臓サポートはDMで0.22%です。

まとめるとこうなります。

  • 研究で使用した低リン食:リンはDMで0.4%
  • ヒルズのk/d:リンはDMで0.33%
  • ロイヤルカナン腎臓サポート:リンはDMで0.22%

パーセントではイメージしづらいですよね?

手作り食の場合、DMで計算なんてしませんので、もっと手作り食の参考にしやすい数字にしてみましょう。

療法食を与えた場合のリン摂取量

療法食は実績がありますから、愛犬に療法食を与えた場合、リン摂取量がどのくらいになるか、これを手作り食の参考にするのはいいアイデアの一つだと思います。

ただ、同じ療法食でもメーカーによってリンの量が異なりますし、同じメーカーでもウエットフード(缶詰め)とドライフードではリンの量が異なります。

どれを参考にするかはあなた次第ですが、ヒルズとロイヤルカナンの療法食(ドライフード)を参考にした場合を例として見てみましょう。

100gにどのくらいのリンが含まれているのか

療法食を与えた場合を参考にするには、水分を含んだ、実際に与えるフードベースで計算します。

ヒルズk/dなら(水分量を11%として計算)

ドライフード100g中のリンは約294mgになります。

ドライフード100gのうち11%が水分ですから、100-11=89gがDMになります。DMの0.33%がリンなので、89×0.0033=0.2937g(293.7mg)となり、ドライフード100g中のリンは約294mgになります。

ロイヤルカナン腎臓サポートなら

ドライフード100g中のリンは約200mgです。

ロイヤルカナンはHPでの成分表示が、400kcal当たりの成分量になっています。400kcal当たり0.2gリンが含まれています。腎臓サポートは100g=399kcalなので、ほぼ100gで0.2g=200mgとなります。もし100g=250kcalのフードだった場合は、250/400=0.625となり、400kcalの62.5%量が250kcal(つまり100g)の成分量になります。0.2×0.625=0.125g=125mgとなります。

体重10kg、維持エネルギー量が534kcalのコーギーの場合

給餌量は各メーカーのホームページで確認して、計算してください。

ヒルズk/dを与えた時のリン摂取量は、約400mg
ドライフード100g中のリンは約294mgです。給餌量は136gなので、1.36×294=399.84mg
ロイヤルカナン腎臓サポートを与えた時のリン摂取量は、約268mg
ドライフード100g中のリンは約200mgです。給餌量は134gなので、1.34×200=268mg

療法食でもリンに差があり、わずかのようでも実はその差は大きい

療法食(ドライフード)を参考にした場合、体重10kgのコーギーなら、一日に400mgまたは270mgをリン摂取量を手作りの目安にすればいいことになります。

しかし、ヒルズとロイヤルカナンでは、130mgの差があります。

この差はかなり大きいと思ってください。同じリンを制限した食事でも、対応できる状況に差があるということです。

また、手作りするとわかりますが、食材選びや必要なタンパク質の確保にかなり影響します。

獣医も知らない?慢性腎臓病の犬のリン推奨摂取量とは

リンの摂取量はどのくらいなのか、療法食を参考にした場合を紹介しましたが、実は、ネットで探すと、推奨摂取量なるものがあります。

DogAware.comというサイトに掲載されていて、個人的には信頼しているサイトなのでそちらも紹介します。しかも、体重1kg当たりの摂取量なので計算がとても簡単です。

DogAware.comによると、NRCのガイドラインでは、進行した腎臓病(IRISのステージ4程度)では一日にリンは22.25mg/kgとなっているそうです。

早期のステージにある犬であれば、リンの量は60mg/kgぐらいまでが推奨されるが、いずれにせよ15-40mg/kgが低リン食とされるようです。

ステージ1で見つかることはほぼないでしょうから、体重1kg当たりのリンの摂取量は15~40mgで、進行度など愛犬の状況に合わせこの範囲内で調整していくことになります。

体重10kgのコーギーなら、150mgから400mgとなり、療法食を参考にした場合とほぼ重なります。

NRCとは
National Research Council、略:NRC。米国学術研究会議あるいは全米研究評議会と訳される学術機関のことで、家畜や動物の飼養標準も作成していて、AAFCOやFEDIAFなどペットの栄養基準のもとになっている。

幅があるリンの摂取量、具体的にはどう決めればいいのか?

例えば、体重10kgのコーギーなら、150mgから400mgとなりますが、ステージ3以降で400mgというのは制限が十分ではないでしょう。

しかし、多分このくらい…というのは単なる推測で、愛犬の状況を見ていません。

具体的にどのくらいにするかは、愛犬の血中リン濃度によって決める。

IRIS(国際獣医腎臓病研究グループ)の治療における推奨事項で、ステージごとに目標とすべき血中リン濃度が示されていますので、愛犬の血液検査の結果を見て、獣医と二人三脚で食事管理をするのが理想ですが…。

頼りにならないこともあるでしょうから、その場合は、血液検査の結果(IPという表示・無機リン)から、リンのコントロールができているかを確認して食事での調整をします。

目標とすべき血中リン濃度

ステージ問わず<4.6 mg/dlを維持するのが愛犬にとって有益。ただし、いずれの場合も2.7 mg/dlを下回らないこと。

  • ステージ2:<4.6 mg/dl
  • ステージ3:<5.0 mg/dl
  • ステージ4:<6.0 mg/dl

IRIS Treatment Recommendations for CKD in Dogs(2017)より作成

直近まで食べていた療法食と同じでもいいかもしれないし、結果が思わしくなければ、それ以下の制限が必要になるということです。

参考までに
2019年2月現在のチャコ(16歳になりました!)の手作り療法食は、体重8kg維持のカロリー、タンパク質は最小推奨量より少し多い食事。リン摂取量は、おやつ込みで約240mgから260mgです。ヒルズk/dよりは少なく、ロイヤルカナン腎臓サポートよりはちょっと多めです。

病気の進行に伴い、食事だけでリンをコントロールするのが難しくなる可能性もあります。

そんな時はどうすればいいのか?

食事での調整が難しい時は、リン吸着剤を積極的に活用する

リンのコントロールは食事だけでは厳しいので、リン吸着剤を積極的に活用します。

リン吸着剤は、食事に含まれるリンを吸着して、排泄物と一緒に排泄することで、リンが愛犬の身体に吸収されるのを防ぐ働きがあります。

獣医の処方は必要なく、サプリメントとして販売されています。

市販の療法食であっても、リンのコントロールが厳しくなるので、慢性腎臓病のワンコには必須のサプリメントになります。

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