【重要】FDAがグレインフリーに警告

愛犬の予後に差がつく!慢性腎臓病の食事3原則+α

完治が望めない病気である腎臓病では、愛犬の食事管理が愛犬の余生を決めると言っても過言ではありません。市販の療法食だろうと手作り食だろうとそれは変わりません。

慢性腎臓病の愛犬の食事は何に気を付けないといけないのか、愛犬のためにどんな制限や栄養があるのかを知っておくことは、飼い主にとって非常に重要です。

なぜなら、ここで紹介することは、あなたの愛犬の予後(生活の質、余命)を左右することだからです。

原則1:【最重要】リンの摂取量を制限する!

なぜリンを制限するのか?

食事からのリンを制限すると、慢性腎臓病の進行を遅らせ、愛犬の生存期間や生存率を高めることができます。だからリンを制限します。

研究により、リンの制限は慢性腎臓病の進行を遅らせることがわかっています。

リンを制限した低リンの食事は、生存期間や生存率が高まることを示す研究が多数あり、有用であることもわかっています。

リンを制限するとこんなに違いが出る!

例えば、腎臓病の犬で、24か月にわたり、食事のリンを制限したグループと制限しないグループで比較を行った研究があります。

リン制限をしない食事を与えたグループでは、明らかに糸球体濾過量(GFR:腎機能の指標とされる)が低下し、生存数も減少していました。

食事でリンを制限したグループは、制限しなかったグループに比べ、2年後の生存率が約2倍以上も高いという結果が出ています。

  • リン制限なしの生存率:33%
  • リン制限ありの生存率:75%

こうした科学的な事実だけでも、リンを制限することが重要だというのがわかります。

ステージ2からリンをコントロールすべき

腎臓の機能が低下し、リンを上手く排泄できなくなると、それが引き金かのように、慢性腎臓病の様々な症状や病態、腎機能の低下や進行を招く症状などが関連して引き起こされます。

そのため、早くからリンを制限するのが重要です。

IRIS(国際獣医腎臓病研究グループ)のガイドラインでは、ステージ2からリンのコントロールを行うべきとしています。

ステージ1で病気が見つかるというのは稀ですので、慢性腎臓病と診断されたほぼすべての犬は食事でリンをコントロールしなければならないということです。

リンを制限しない食事は療法食とは言えない

リンを制限するのが重要なのは、市販の療法食であっても同じです。リンを制限していなければ、療法食としての意味がありません。

療法食は、公的なお墨付きがあるわけではなく、事業者の責任で言っている自称なので、必ず確認しましょう。

療法食を与えていも、おやつでジャーキーを与えていてはリンはコントロールできません。

ささみジャーキーなどの乾燥肉のおやつは、水分が7割ほどある生肉の水分が減少し、軽くなり、大きさも縮んでいるだけで、一つくらいと思ってもリンが多く含まれています。

そのため、おやつにも気をつけます。

原則2:良質なタンパク質を適量与える

タンパク質の制限については、未だに確固たる科学的な根拠はありませんし、議論がされていることです。

タンパク質を制限すると腎臓を保護するとか生存期間に影響するという主張もありますが、根拠がありません。むしろ、タンパク質は腎臓には何ら影響しないということを示す研究は複数あります。

飼い主としては議論はともかく、愛犬のためにどうしたら良いのかがはっきりしていないと困りますよね?

そもそも、なぜタンパク質を制限するのか?

タンパク質の制限は腎機能や余命に直接影響しないとしても、タンパク質の制限は一切必要ないと考えている人は恐らくいません。

タンパク質を制限するのは、腎機能の低下によって愛犬の生活の質を低下させないために、あるいはその状況を防ぐために必要だからです。

腎機能が低下すると、タンパク質の代謝老廃物が処理しきれずに体内に溜まってしまい、それが愛犬の身体に悪さをするようになります。尿毒症の症状や貧血などが典型的な症状です。

タンパク質を制限することで、処理しきれずに体内に溜まってしまう老廃物を減らし、症状の緩和や愛犬のQOLを維持することができます。

タンパク質を制限するのは、愛犬の症状の緩和やQOLの維持のためです。

栄養基準やガイドラインの最小値を下回るほどの制限は必要ない

慢性腎臓病であっても、残された腎機能や体の機能を維持するためにもタンパク質は必要なため、必要以上にタンパク質を制限する必要はありません。

つまり、栄養基準やガイドラインの最小値を下回るほどの制限は必要ありません。

タンパク質を制限し過ぎたために、筋肉量が低下し、活動的ではなくなったり、生活の質が低下することは療法食ではよくあることです。まぁ、食べ続けてくれればの話ですが…。

タンパク質の過度の制限は、最悪の場合、タンパク質不足で、心不全になり死んでしまうこともあります。

タンパク質を制限するのは、愛犬の症状の緩和やQOLの維持のためですから、制限によって調子が悪くなっては意味がありません。

目の前にいる愛犬に合った適量のタンパク質

リンの多い食材はタンパク質が多い食材でもあるので、リンを制限すれば、タンパク質も自動的に制限することになります。

そのため、手作りする場合、タンパク質は制限するというよりは、リン制限の範囲内で、良質なタンパク質を選択して愛犬に適量を与えるということになります。

飼い主にとっては、愛犬に合った適量というのが難しいところで、これはあなたの目の前にいる愛犬の状況次第です。

例えば、ステージ3やステージ4の場合や、尿毒症などの症状、尿蛋白が出ている場合などは、症状の緩和や悪化の防止のために、これまでの食事で摂っていたタンパク質の量よりも、減らす必要があるでしょう。

それがどの位なのかは決まっているわけではありませんし、実は獣医にもわかりません。

参考までにあげておくと、Today’s Veterinary Practiceでは、症状、尿蛋白や高窒素血症の深刻度によって、25%から50%減が推奨されるとしています。

この場合も、栄養基準やガイドラインの最小値を下回るほどの制限は必要はないと思います。

原則3:オメガ3脂肪酸(EPAとDHA)を与える

慢性腎臓病の犬に魚油(EPA,DHAが豊富)を与えると、糸球体ろ過量(腎機能の指標)が維持され、蛋白尿やクレアチニンの減少、組織の損傷が軽減されることがわかっています。

オメガ3脂肪酸(EPAとDHA)は、腎保護効果が得られることが科学的にわかっている栄養素です。

完治がない慢性腎臓病の犬にとって、病気の進行を遅らせることができるというのは非常に重要ですので、必須です。

療法食にも配合されています。ただ、EPAやDHAは酸化しやすいので期待はできません。EPAとDHAは、療法食の場合でも別にサプリメントで補います。

慢性腎臓病に有用とされるのはEPAとDHAが豊富な魚油です。

同じオメガ3脂肪酸でもαリノレン酸が豊富な亜麻仁油ではありません。αリノレン酸からも体内でEPAやDHAにわずかに変換されますが、十分ではありません。

プラスα:知っておいて損はない2つのこと

愛犬の状況によって違いますが、腎機能が低下してくると必要になってくる制限や注意すべきことがあります。

高血圧予防のためにナトリウムを摂りすぎないようにすると良いかも

慢性腎臓病になると、高血圧になる可能性があるため、ナトリウムを摂り過ぎないようにするとよいかもしれません。

プラスαの情報にしたのは、まだ科学的な根拠がないためで、獣医によってはまだ必要ないと言うかもしれません。

療法食であれば予めナトリウムが制限されていますが、手作りの場合も、過度に心配する必要はないですが、療法食を参考に控えめにするようにします。

愛犬が高血圧になった場合は当然ですが、ナトリウムも制限が必要になります。

療法食の場合や療法食を参考に手作りした場合は、何もする必要はありませんが、おやつなどでも注意するようにします。

たいていは、高血圧がある場合は、フォルテコールが処方されるので、それを飲ませることになると思います。

フォルテコールは、猫では腎臓病の薬になっていますので、動物病院によっては、腎臓病のお薬として処方されるかもしれませんが、ACE阻害薬という血圧を下げる薬です。

MEMO
ACE阻害薬(エースそがいやく)はアンジオテンシン変換酵素阻害薬の略。血圧を下げる作用がある薬で、血圧を下げることで間接的に腎臓を保護できる。副作用に高カリウム血症がある。

カリウムが高いまたはフォルテコールを服用時はカリウムに注意する

高カリウム血症(カリウムが高い)は放置は厳禁です。注意しないと、心不全や心停止する可能性もあります。

腎機能の低下が進まない限り、あまり心配をする必要はないですが、フォルテコールを飲んでいる場合は高カリウム血症になることがあります。

フォルテコールを愛犬が服用している場合や高カリウム血症の場合は、食事でカリウムを制限する必要があります。

療法食はあらかじめ調整されていますが、カリウムがより制限された療法食に変更が必要になるかもしれません。

手作りの場合は、野菜に多いので、与える場合はゆでこぼすなど、食材のカリウムを減らす手間が必要になります。

まとめ

食事3原則プラスα
  • 原則1:【最重要】リンの摂取量を制限する
  • 原則2:良質なタンパク質を適量与える
  • 原則3:オメガ3脂肪酸(EPAとDHA)を与える
  • プラスα:ナトリウムを摂りすぎないようにすると良いかも
  • プラスα:カリウムが高いまたはフォルテコールを服用時はカリウムに注意する

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