愛犬に必要なカロリーを計算して食事を与える前に

ドッグフードを解説したサイトなどでは、ドッグフードの給与量は愛犬のエネルギー要求量を計算して正しい給与量を与えましょう、と説明されることがあります。

手作り食の場合も、カロリー計算して愛犬の食事を作ろうと思っている人もいるかもしれません。特に生食(ローフード)ではカロリー計算なんてしませんので、余計に気になる人もいると思います。

でも、計算で求めた1日に必要なカロリーは出発点として使うにはいいですが、必ずしも愛犬にとって適正なカロリー量を意味しているわけではありません。そのため、給与量も適正だとも限りません。

また、カロリー計算してドッグフードを与える場合、カロリーしか見ていません。もう一つの大事な視点が欠けています。

計算した必要カロリーで愛犬に食事を与えると太るかも

理由は簡単です。

計算した愛犬に必要なカロリーと実際とではギャップがある(多い)からです。

これを知らないと、食事が多すぎて便が緩くなってしまったり、気づいたら愛犬が太ってしまっていた、そんな事態になりかねません。

計算した1日に必要なカロリーは愛犬には多めになる

使う計算式によって程度に差はありますが、計算結果は実際よりも多めになる傾向があります。

FEDIAF(欧州ペットフード工業連合)の栄養ガイドラインでは、計算した維持エネルギー要求量は、10~60%多く見積もっているかもしれないとしています。

計算した愛犬に必要なカロリー自体がすでにカロリーオーバーの可能性があるということです。

それを頭に入れておかないと、愛犬を太らせてしまうかもしれません。

それだけではありません。

適度、標準的な活動量って?知らないと愛犬の活動量を多く見積もりがち

愛犬の1日に必要なカロリーは維持エネルギー要求量(MER:maintenance energy requirements)ともいわれます。

維持エネルギー要求量は、適度な活動量の成犬をモデルにしています。

適度な活動量とは、1時間から3時間の低負荷の活動量がある犬のことを言います。これが「普通の、適度な、典型的な、標準的な、ノーマルな」活動量とされます。

さて、あなたはこの活動量をどう感じたでしょうか?

適度というよりもむしろアクティブとか活動的に思えるかもしれません。

実際、ドッグフードによっては、給与量の目安で、適度な活動量をアクティブと表現していることもあります。

つまり、飼い主が適度と考えている活動量とはズレがあるということです。

また、計算式ばかりで、活動量が具体的にどの程度のことを指すのかが説明されることもほとんどありません。

そのため、「うちの子は毎日散歩にもいってるし…活動的かな…」と愛犬の活動量を多く見積もってしまいがちです。

ドッグフードはカロリーだけを調整することはできない

ドッグフードの給餌量をカロリー計算をして出す場合、愛犬にとって大事な視点が欠けています。

それは必須栄養素です。

食事はエネルギーを得るだけのものではありません。健康や理想の状態を維持するのに必要な必須アミノ酸や必須脂肪酸、ビタミンやミネラルの供給源です。

ドッグフードに含まれる必要な栄養素もすべて増減する

ドッグフードは、カロリーだけを調整することはできません。

カロリーを調整するために給餌量を調整するということは、同時にドッグフードに含まれる必要な栄養素もすべて増減するということです。

活動量などから給餌量が増える場合は、必要なカロリーも増え、それに伴いタンパク質や代謝に必要なミネラルやビタミンも増えるというのは、あなたも納得できると思います。

しかし、シニアになったからカロリーは減らしたいという場合、単純に給餌量を減らすと、同じ体重なのに必須栄養素も同時に減ります。

同じ体重なら愛犬に必要な栄養素のレベル自体は変わらない

同じ体重なのに、愛犬に必要なカロリーが減ったら、同時に愛犬に必要な栄養素のレベルは下がるでしょうか?

例えば、あなたがダイエットでカロリーを控えると、あなたの1日に必要なビタミンやミネラルの所要量は同時に下がるでしょうか?

そんなことはないですよね?

愛犬に必要なカロリーが減っても、同じ体重なら愛犬に必要な栄養素のレベル自体は変わりません。

ところが、ドッグフードはそうはいきません。

カロリーを減らすということは、すべての栄養素も減らすことになるので、適切なレベルの範囲内であれば問題ありませんが、その量が大きいほど、適切ではなくなる可能性が出てきます。

ダイエットで食事を1食抜いたために、その食事から摂っていたビタミンやミネラルも抜くことになってしまい、お肌の調子が…そんな経験をした人もいるでしょう。

愛犬のドッグフードでも同じようなことが起きるかもしれません。

こんなケースがあり得る

例えば、愛犬に必要なカロリーを計算したら次のようになった時どうなるかをみてみましょう。

  • 体重10kg5才のコーギー:618kcal
  • 体重10kg10才のコーギー:450kcal

400kcal/100g、タンパク質23%、給与量の目安が10kgで160g(640kcal、タンパク質は37g)のドッグフードの場合で計算してみます。

ちなみに、当サイトの自動計算では、体重10kgの場合、タンパク質の最小推奨量は27.82gで、どちらもタンパク質の推奨量は同じになります。

体重10kg(400kcal/100g、タンパク質23%の食事の場合)
年齢・ライフステージ 5才 10才
1日に必要なカロリー 618kcal 450kcal
1日の給与量 155g 113g
タンパク質の最小推奨量 27.8g
タンパク質の摂取量 36g 26g

ドッグフードの給与量はカロリーが違うので当然違いますが、同じ体重でもタンパク質の摂取量が違います。

このドッグフードで、カロリー計算で給餌すると、5才の場合は問題ありませんが、同じ体重でも10才の場合はタンパク質が最小推奨量より低く、不足することがわかります。

ビタミンやミネラルでも不足するものがあるかもしれません。

カロリー計算での給餌量と目安での給餌量とで差が大きい場合は要注意

ドッグフードは最小の推奨量よりも多く余裕を持たせて作られていますので、メーカーが想定している給与量の目安の範囲内であれば、給餌量を調整しても適切な栄養量は維持できます。

でも、今回の例のように、計算した必要カロリーと給与量の目安でのカロリーに大きな差があるときは要注意です。

  • 11才のコーギー:給与量は113g、450kcal
  • 給与量の目安:給与量は160g、640kcal

100gあたりの栄養要求量はAAFCOの基準を満たしているドッグフードだったとしても、このドッグフードを与えるには、愛犬の給餌量は適切ではない可能性が高いです。

つまり、このドッグフードで愛犬のカロリーに調整するのは無理があり、愛犬には合っていないということです。

計算したカロリーの給餌量で与えた場合、カロリーは適切かもしれませんが、必須栄養素は適切ではないものが出てくるかもしれません。

このような場合は、給餌量を調整するよりも、ドッグフードそのものを見直した方がいいでしょう。

カロリーとは別に、愛犬に必要な栄養素はどのくらいかは知っておく

カロリー計算して愛犬に食事を与えるなら、愛犬の体重での必要な栄養素についても大雑把でもいいので知っておきましょう。

特に、手作り食でカロリー計算をして、そのカロリーをもとに必要な栄養素を計算してしまうと、愛犬の体重ではなく、摂取カロリーの多い少ないで必須栄養素のレベル自体が変わってしまいます。

そうすると、愛犬に必要な栄養素を少なく見積もってしまうことがあるので注意が必要です。

給与量の目安での給餌量とカロリー計算での給餌量、その差を確認してみて、その差を給餌量で調整するのは適切かどうか確認するようにすると、給餌量での調整に無理がない、愛犬に合ったドッグフードを選ぶことができます。

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